Y邸 自然の中で過ごす豊かな時をデザインする

 Y邸は緑化協定に守られた閑静な住宅地にあります。
接道が北道路のため、南庭は静かで落ち着いた空間です。そして、隣家の緑とその向こうには保存林の緑が繋がっています。

 また、北玄関と南庭を繋ぐ建物東側の広いエリアは、建築当初に植栽のためのスペースとして計画されました。

 Y様は雑木に包まれた癒しの庭をつくり、そこへ向かう動線でも木々を愉しみながら歩きたいという明確なイメージをお持ちでした。

 東西に抜けのある立地条件を生かし、庭空間に立体感や奥行きを与え、自然を感じながらデッキでくつろいでいただる空間デザインを模索します。






デッキは庭全体を眺められるように、建物から離し角度を持たせた配置に。
デッキを囲むように植えられた木々は、やがて空間を緑陰で包み込んでくれることでしょう。

施工直後



施工前



室内から眺めても隣地の緑と繋がり広がりを感じる。
建物から距離を置き設置されたデッキは離れのような空間です。



高さの低いデッキは、庭との一体感を感じられます。
座でくつろぐためのテーブルとクッションをご準備され、新緑の季節を心待ちにされていらっしゃいます。



新緑の季節



窓の手前に植えたナツハゼとアオハダは、室内からでも自然を近くに感じていただけます。
建物際まで貼った苔は地温の上昇を抑える効果が期待される。


刻々と変化する葉影が美しい




さりげなく据えられた自然石と山野草と苔。
しっとりとした小さな景色に癒されます。


景石と苔で景色を繋ぐ。
引き算の美しさに心が整う。

木陰が心地いい。




飛石に与えられた景色は、職人さんの技術と感性により生み出される。


窓辺に植えたアカシデは室内に緑陰をもたらす。
緑は暮らしに不可欠な存在。


右側エリアの菜園は、景色と同調させた心地よいリズムでデザインする。



庭入口よりデッキエリアへつながる枕木の園路。

枕木のモジュールを生かしながら、歩きやすさと視線に広がりをも持たせたデザインに。


視線がデッキへと導かれる。
境界に設置したスクリーンは庭空間を引き締め、景色を東西へと導く効果をもたらす。

施工前





隣家に配慮し高さを抑えたスクリーン。

ピンポイントの目隠し効果をもたらすソヨゴ株立ち。




景石の表情が庭に趣と品格をもたらす。
職人さんの感性と技が光ります。



一石一石に景色を感じ、眺めていると心が安らいでいく。




苔と落ち葉が美しい。




東庭へと繋がる延べ段の園路



最も日当たりの良い場所に菜園スペースを確保。
スクリーンで雑木の庭と隔て、野菜づくりを愉しめるよう配慮します。



お玄関から南庭へ

草木の緑を愉しみながら歩く園路は自然石の延べ段を採用。

施工前




やがて木々が成長し、樹冠の下を通り抜けできることでしょう。




窓辺に緑を植えると、室内でも葉を透かして届く光や葉のゆらぎを感じることができる。



後記


広い面積に敷き詰められた苔は、美しさだけではなく、音を吸収し反響を抑える効果が期待できるとの報告があります。また、苔自身の質量の数倍から20倍ほどの保水力があり、他の植物が育ちやすい環境をつくり、地温の上昇も軽減します。
さらに、苔は草木とともに二酸化炭素の吸収も担い温暖化対策効果をもたらし、その小さく控えめな見た目とは裏腹に「凄い」植物です。

 完成したY様のお庭に佇むと、凛とした空気に包まれ、心がホッと安らぎます。
刻々と変化する自然の庭は、偶然出会う美しさに感動を覚え、風のゆらぎや光の美しさに癒されると感じます。休日はデッキでのんびりと過ごし、空と木の葉のゆらぎに癒されながら、ご家族で和やかな時を過ごしていただけましたら幸いです。

自然の庭は、日々の暮らしになくてはならない大切な存在となっていくことでしょう。



宇都宮市 Y邸

造園施工      (株)匠コーポレーション 様

ガーデンデザイン  OTONOHA

OTONOHA

OTONOHAは、庭と外構のデザイン室です。 機能と美しさの中に付加価値を兼ね備えたガーデンデザインを追求しています。 住み手のライフスタイル、その場の環境、建築とのバランス等を吟味し、 どのような条件でも、必ずその場所でしかできないエクステリアデザインを創造し、提案いたします。 日々の暮らしを大切にする想いを共有し、 お庭づくりを一緒に進めさせていただければ幸いです。

0コメント

  • 1000 / 1000